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事例から見る『引きこもりの7割は自立できる』(1)

前回のコラムでは、本の目次と、各章の内容を簡単にご紹介しました。
12人の事例が入っていることも、予告として書きました。
このコラムでは、本でご紹介した事例の概略と、その趣旨をお伝えしていきます。

前回のコラムはこちら

「もっと早く押し出してほしかった」

「第2章 家族をひらく」の冒頭の事例、圭一くん(名前は全て仮名)の言葉です。

圭一くんは退職後、5年間の引きこもりでした。
レンタルお兄さんによる訪問、寮生活を経て、資格も取得し就職、自立していったという事例です。

いわば総論である第1章に対し、第2章からは各論に入ります。
その段差を言葉以外で感じていただくために、この章の冒頭に事例を入れることにしました。

最初の事例なので、タイトル通り、自立していることが大前提です。
ニュースタートは卒業生の大半が自立しているので、そこはある意味選び放題。
そこに加えて「家族をひらく」をどう感じてもらうかが、事例選びの焦点でした。

圭一くんの親御さんは、夕食を作ってもらうという役割を担ってもらうなど、家庭内でできることを模索し実践していたと思います。
ところがその家の中の役割の存在が、逆に圭一くんの引きこもりを長引かせる一因となっていました。

いざこちらが支援を始めると、圭一くんは順調にステップを上がっていき、自分で将来について考えて資格も取得し、自立に至ります。
親御さんは、家庭内支援から、家族をひらいて第三者支援に切り換えただけでした。

家族をひらいて第三者に委ねることの効果がよく感じられる事例です。
そして「もっと早く押し出してほしかった」という圭一くん言葉は、「家庭内解決にこだわらないで」というメッセージのようにも聞こえます。

「将来への不安はあった、でもこのままでいいやって」

大学院を中退して就活をするもうまくいかず、徐々に友人と遊びに行くこともなくなり、6年引きこもりをしていた洋二くん。

レンタルお姉さんが8ヶ月訪問しても完全無視を貫き、親御さんが中心で説得してやっと入寮します。
ところがいざ入寮すると、洋二くんは人とのコミュニケーションに全く問題なし。
仲間との寮生活を楽しんで、就職し卒業していきました。

洋二くんは、家に居たから、そんな顔をこちらに全く見せてくれなかったのです。
家を出たとたん、気持ちがほどけたのか、別人のように明るく活動的になりました。

これだけ動ける力を持ちながら、家に居た頃は何も気力が湧かず、「このままでいい、一生引きこもっていよう」と思っていたそうです。

家族をひらかず家庭内解決を目指したら、一体何年かかったのか、そもそも解決できたのかと思える事例です。

「まずは親子で向き合ってみます」

大学に受からず、そこから5年間引きこもりだった有三くん。
これは支援休止時のお母さんの言葉です。

今回の本は、いわゆる失敗事例を入れたい、という気持ちが最初からありました。
成功事例よりも、失敗から伝わるものの方が大きいと考えたからです。

ニュースタートの支援は、およそ8割が自立などの次のステップに進みます。
ですが2割ほどは、自立や一般就労は無理と判断し医療や福祉へ、または支援を中途終了という結果になります。

この中途終了となったケースの、その後まで、場合によっては最終結果までを、反省も含めてお伝えしたい。
そういう思いで選んだ事例になります。

「まずは親子で向き合ってみます」と言って、問題を家庭内に戻したお母さん。
その結末は、悲しいものでした。

詳細は、本を見てご確認ください。

ベッドで塞がれたドア、そして外されたドア

「第3章 『信じて待つ』は3年まで」の、最初の事例です。

「信じて待つ」の効果はかなり限定的なので、引きこもり3年を過ぎたら「信じて待つ」をやめましょう。
そういうお話をした直後ですから、「信じて待つ」をやめることの効果がよく分かる事例を選びました。

剛志くんは大学卒業後、就職をしないまま3年引きこもり
剛志くんの部屋のドアは、鍵がないタイプでした。

支援者に言われた通り3年間信じて待っていたが、むしろ外出は減り、引きこもりが悪化していると思われての支援依頼でした。

レンタルお姉さんが訪問するのですが、剛志くんは訪問日になるとベッドを動かして、ドアを塞ぐようになります。
すると剛志くんのお父さんは、ドアそのものを外してしまいました

剛志くんはその翌月には、バイトを開始しています。
レンタルお姉さんとも会って話をしてくれるようになり、前向きに支援を終了しました。

お父さんが「信じて待つ」をやめて行動したことが、本人を動かした
このことがよく分かる事例です。

「あの10年は何だったんだろう」

一人暮らしで働いていた大吾くんは、退職後10年間引きこもりでした。
その間は親御さんが仕送りをして、生活を支えていました。

訪問開始にあたり、親御さんから「3ヶ月で仕送りをやめます」という手紙を出してもらいます。
「信じて待つ」の終了宣言です。

「今後のことはこの人に相談しなさい」と伝えていただき、レンタルお兄さんが訪問。
大吾くんは、初対面からわずか3ヶ月弱で、無事に仕事を始めました

「あの10年は何だったんだろう」は、支援終了時のお母さんの言葉です。

「信じて待つ」をやめて、未来に向けて背中を押す
すると10年の引きこもりが、たった3ヶ月で解決することもあるのです。

「待ってみようと思います」

歩くんは大学卒業から、2年間引きこもり
レンタルお姉さんが訪問しても無反応で、そのうち訪問日には出かけてしまうようになります。

そこで親御さんに、バイトなどに期限をつけて押すようにとお願いします。
ですが親御さんはその決断ができません。

結局「しばらくそっとして、待ってみようと思います」と、支援は終了になりました。

10年後、親御さんから「また訪問してほしい」との連絡が入ります。
ですが歩くんの状態はかなり悪くなっており、支援はお断りしました。

「信じて待つ」を10年前に選択した親御さん。
一見リスクのないように見えたその道も、リスクは存在します。

「信じて待つ」も、絶対に安全な道というわけではない
まずはその事実を知っていただきたくて、この事例を選びました。

4章、5章の事例は次のコラムで

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執筆者 : 久世 芽亜里(くぜ めあり)

久世芽亜里

認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。

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