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引きこもり、何年見守りますか?──支援を頼むタイミングとは

引きこもりの長期化が問題になっています。

相談に来られる方は、引きこもり半年から20年以上まで。
引きこもり期間は、本当に幅広いです。

そこで今回は、「引きこもり年数でどう対応を変えるか」をお伝えします。
訪問など支援を入れるべきタイミングについても触れていきます。

※今回お伝えする内容は、およそ18歳以上の方を想定しています。
これより下の年齢の場合は、もっと早い対応が必要です。

本人を見守るのは1年まで

「待つ」「見守る」がマイナスになる場合がある

引きこもりに悩む親

以前は引きこもりの相談を受けると、
「本人が動き出すまで、見守ってあげましょう」
「信じて待ってあげましょう」
とアドバイスする機関がほとんどでした。

この「信じて待つ」というアドバイスは、間違いというわけではありません。
ただし、全ての引きこもりに当てはまる回答ではありません。

待つことがプラスになる場合と、逆にマイナスになる場合があるのです。
最近は少しずつそのことが知られるようになりました。

「ただ待っていてもダメ」と打ち出す支援団体も、ここ数年で増えてきました。
ですがそれを知らずに、過去に受けたアドバイスを守り続ける親がいます。
同じアドバイスを繰り返している機関や支援者も、まだまだ残っています。

待つかどうかの判断基準は、引きこもり1年

ニートを心配する母

ここで改めて、「うちの子はまだ待つべきなのか」を判断してください。

待つかどうかは、色んな判断基準があるとは思います。
言動などで判断しようとすると、個人差があってなかなか難しくなります。

そこで、簡単に「引きこもり年数」で判断しましょう。

「見守る」「待つ」がプラスになる引きこもり年数。
それは、引きこもり1年までです。

これは引きこもりの大半である、70~80%の方には当てはまります。

引きこもって1年になったら、ただ見守るのはやめて、何か働きかけをすべきです。

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引きこもり最初の1年は、傷を癒やして考える時間に

傷ついた引きこもりの心

引きこもりには、色んなきっかけがあります。

学校や職場でのいじめなどで傷つき、引きこもった人。
他人や社会との関係に疲れた人。
自分の将来に悩み、動けなくなった人。

そんな時に無理に外の世界に引き出そうとしても、うまくいきません。
傷を治し、癒される時間が必要です。
これからのこと、自分のことをゆっくり考える時間も大切です。

引きこもり始めたら、最初は温かく見守って、待ってあげてください。
あれこれ言わず、家を居心地のいい空間にしてあげてください。

ただし、その期間はおよそ1年で十分です。
早い人で半年、どんなに長くても3年あれば、最初の傷は癒えているはずです。

どうして見守りは1年までなのか

引きこもるだけでは解消できない要因がある

引きこもりを解決する

1年引きこもっても動き出せない人は、実際のところ高い割合でいます。
するとまだ出られる状況ではないのだなと、いつまでもただ見守ってしまいます。

ここが大きな間違いです。

その期間を過ぎても動き出せない人は、別の要因を考えるべきです。
引きこもることでは解消されない、別の何かがまだ残っているのです。

例えばそれは、自信のなさかも知れません。
ですが、ただ引きこもっていても、自信はつきません
外に出て、色々な経験をしていって、やっと少し自信が持てるようになるのです。

何かあるといじめられた当時のことを思い出し、動けないのかも知れません。
それなら気持ちを分かってくれる人を知り、他人へのイメージを塗り替えましょう。
ただ部屋に一人でいると、つらい記憶を何度も思い返すだけになります。

見守り続けることで、引きこもりは長期化していく

長期化するひきこもり

「見守っていれば、いつか動き出します」
この言葉は、引きこもり全員に当てはまるわけではありません。
20年以上引きこもったままの人が、たくさんいるのですから。

引きこもって自分を守り、傷を癒やし、考える時間は必要です。
引きこもりがプラスになる時間です。
でもそれはおよそ1年でいいのです。

引きこもりの理由は複合的で、ひとつとは限りません。
引きこもって解消できる部分は、最初の1年で完了しています。

残っているのは、引きこもっていても解消できない部分です。
それなのに、ただ見守り続けてしまう。
引きこもり続けるうちに、外へのハードルは高くなり、ますます動きづらくなる。
こうして、引きこもりは長期化していくのです。

プラスになる時期を過ぎても引きこもること。
それは長期化を進めて、解決を難しくていきます。
止まっているように見えますが、実はマイナス方向へ動いているのです。

一番リスクが低いのは1年、リスクゼロの選択肢はない

リスクの低い選択肢を考える母

引きこもりが必要な期間は、70〜80%が1年です。
残りの20〜30%は2~3年かかります。
なら3年見守るほうが安全なのでは、と思われる方がいらっしゃるかも知れません。

しかし3年待つと、70〜80%の人が、必要のない引きこもり生活を2年間過ごします。
この2年は、マイナスの時間でしかありません。
2年後には、最初よりも解決しづらい状況になっています。

早く見守りをやめると、本人の負担がまだ大きい場合がある。
でも余分な見守りをしてしまうと、引きこもりが悪化していく。

どちらを選んでも、残念ながらリスクはゼロにはなりません
ですからここでは、大多数にあてはまる1年をおすすめします。

1年が、一番リスクが低いと思われる年数です。
心配であれば、支援者の意見も求めながら慎重に行動し、判断してください。
まだ待つべきだと判断したら、すぐに見守りに戻せばいいのです。

引きこもり期間1年以上への正しい対応

1年を過ぎたら、親か第三者が働きかけをしていく

引きこもり支援を考える母

引きこもりの最初の1年が過ぎたら、親は次の行動に移ります。
居心地のいい我が家から、外に向けて動かしていく行動です。

ここで、2つの選択肢があります。

・親が子どもの支援をする
・第三者による支援を入れる

できそうであれば、親が本人に働きかけて、外へ動かしていきます。

引きこもりには4つのタイプ!タイプ別に見る解決法

親では難しいと感じる、経験者の知恵を借りたい場合は、支援団体など第三者に相談に行きましょう。

第三者の意見を聞いて親が行動する、という形でもいいと思います。
このどちらがいいのかは、一概には言えません。
第三者がいいとはっきり言えるのは、暴力がある場合くらいです。

「まずは自分で」という親が多いですが、この時期はそれでも構いません。
大切なのは、「いつまで親が支援するのか」です。

2年やってみて効果がなければ、支援を変える

試行錯誤する父

支援は様々なものがあり、何が合うのかは人それぞれです。
全ての人に合う支援、というものはありません。
合う支援であれば、2年もすれば大きく状況が変わるはずです。

  • 一歩も外に出なかったのに、普通に外出するようになる。
  • ずっと友人と会っていなかったが、誘われると出かけだした。
  • ニートから、バイトを始める、または落ちたとしても面接に行った。

そのくらいの大きな変化があるかが、判断基準になります。

「少し会話ができました」などの小さい変化では、その人に合う支援とは言えません

2年やってみてはっきりした変化がないなら、支援団体を変えるべきです。
同じ団体の中で担当や支援内容を変えるのではなく、違う団体を探しましょう

親だけによる支援は、2年間までにする

対応に迷う父

2年で効果がなければ、支援団体を変える。
それは、親が支援していたなら、第三者による支援に変えるということです。

我が子のことを一番知っているのは親だ。
親が何とかしなくては。
そんな気持ちがあるかも知れません。

ですが、「引きこもり支援者」として考えると、親はやはり初心者です。
それに、どんなにいい支援者であっても、我が子の事例を冷静に見るのは難しいものです。
「親だからこそ本音を話せない」という子どももたくさんいます。

第三者による支援を利用したとしても、親としての役割はなくなりません。
親と支援者が連携し、協力し合うことが必要です。

親だけによる支援は、2年間やってみてだめなら、諦める。
第三者による支援を入れて、自分は親の立場できちんと協力する。

そういう考え方が必要なのです。

引きこもりの子どもを持つ父親ができること

【YouTube 3分解説】引きこもりってどんなイメージ?

引きこもり期間3年以上への正しい対応

引きこもり3年を過ぎたら、第三者による支援が必要

長期化する息子の引きこもり

3年という引きこもり年数が、大きな境目になります。

引きこもって1年は、見守る。
そこから親が支援してみて、2年やっても変化がなければ第三者を。
この合計が3年です。

1年で働きかけをせず、3年まで見守った場合も同じです。
その後に親による支援を2年やらずに、すぐに第三者を入れるほうがいいでしょう。

引きこもっていた人達に話を聞いても、「何とかしたいという気持ちが、3年くらいするとマヒしてくる」と言います。

本人の出たい気持ちが弱まり、親の働きかけだけでの解決が更に難しくなります。
引きこもり3年を過ぎたら、経験者の知恵が必要です。

相談に行き、支援を受けるようにしましょう。

支援を入れるタイミングは、引きこもり1年から3年の間

支援のタイミングを考える母

引きこもり1年未満

最初の1年までは、引きこもることが必要な期間と考えます。

引きこもり1年未満で相談に来た場合は、
「もう少し見守って、自分で動き出すか様子を見てもいいかも知れません」
とお答えするケースが多いでしょう。

1年を過ぎた頃が、第三者による支援を入れる最初のタイミングです。
親が働きかけをするなら、2年間まではやってみていただいてもいいと思います。

引きこもり1年から3年の間

引きこもり1年から3年の間なら、
「支援を入れてもいいし、親御さんが自分で試したいことがあれば、まずはそれでも」
とお答えします。
親が支援の具体的なプランを出せないなら、支援を入れることをすすめます。

引きこもり3年以上

引きこもり3年を過ぎると、
「支援を入れるなら、少しでも早いほうがいいです」
とお答えするようになります。

第三者の支援スタートのタイミング

第三者による支援をスタートするいいタイミングは、引きこもり1年から3年の間です。

それより早ければ、支援が必要かを見極め、まだ待つという判断もあります。
それより遅ければ、これ以上引きこもり年数を重ねるだけ、解決も大変になります。

引きこもり3年を過ぎていたら、一刻も早い相談を

行動する母

この文章を読んでいる今、引きこもり3年はとうに過ぎてしまっている。
そんな方もたくさんいらっしゃるでしょう。

これだけ引きこもりの長期化が問題になっているのです。
もしかすると、大半の方はそうかも知れません。

ぜひ、恥ずかしいと思わずに、少しでも早く相談に行ってください。
ただ見守ってしまうこと、待つことは、もうマイナスでしかありません。
親はすぐに行動を起こしましょう。
早く支援を入れれば、それだけ早く解決します。

子どもの時計がいつから再び動き出すかは、親次第なのです。

「親は何もしてくれなかった」
「こうなったのは親のせいだ」

後になってこう責められる親も急増しています。
実は子どもも、自分を助けてくれる何かを、待っているかもしれないのです。

引きこもり3年を過ぎたら、少しでも早く親に相談に来て欲しい。
そして本人には少しでも早く、自分自身の未来に向けた歩みを始めて欲しい
それが支援者としての、切なる願いです。

まとめ

引きこもりが解決して喜ぶ父

以前の引きこもりへのアドバイスの多くは、「待つ」「見守る」でした。
ですがこれは、全ての引きこもりに当てはまるわけではありません。
「待つ」「見守る」がマイナスになる場合もあります。

今回はその境目を、簡単に「引きこもり年数」で判断します。
「見守る」「待つ」がプラスになるのは、引きこもり1年までです。
全体の70~80%の人に当てはまり、残りの大半も3年までです。

引きこもった当初は、傷を癒やして、自分や将来のことをゆっくり考える時間です。
温かく見守って、待ってあげましょう。
その期間は、およそ1年で十分です。

引きこもりの理由は複合的で、引きこもって解消できるものもあります。
1年を過ぎても動き出せない人は、別の要因もあると考えるべきです。
自信のなさや他人への恐怖など、引きこもっていても解消されない要因です。
見守るべき期間を過ぎても、ただ見守り続けてしまう、これが長期化につながります。

時間とともに外へのハードルは高くなり、ますます動きづらくなります。
止まっているように見えて、実はマイナス方向へ動いている時間です。

早く見守りをやめると、本人の負担がまだ大きい場合があります。
でも余分な見守りをしてしまうと、引きこもりが悪化していきます。

残念ながらリスクがゼロのタイミングはなく、一番リスクが低いと思われるのが1年です。
引きこもり1年を過ぎたら、外に向けて動かす支援をします。

具体的なプランがあれば、まずは親が支援してもいいでしょう。
難しいと感じるようであれば、支援団体など第三者に相談に行きます。

支援は様々なものがあり、全ての人に合う支援というものはありません。
合う支援であれば、外出するようになる、バイトを始めるなどの変化が、2年以内に出ます。
2年やってはっきりした変化がなければ、支援団体を変えましょう。

親だけによる支援も、2年までにします。
親は支援初心者ですし、我が子の支援は経験者でも難しいものです。
2年やってみて変化がなければ、第三者による支援に変えましょう。
引きこもり3年を過ぎたら、第三者による支援が必要です。

1年見守り、2年親が支援したのちは、第三者の支援になりますが、これが3年です。
3年見守った場合は、もう親だけの働きかけでは難しいため、最初から第三者を入れます。

第三者による支援を入れるいいタイミングは、引きこもり1年から3年の間です。
1年未満なら、支援が必要かを見極め、まだ待つという判断もあります。
3年を超えれば、これ以上引きこもり年数を重ねるだけ、解決も大変になります。

すでに引きこもり3年を過ぎていたら、「見守る」「待つ」はマイナスでしかありません。
早く支援を入れれば、それだけ早く解決します

一刻も早く相談に行きましょう。

ニュースタート事務局スタッフ 久世

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執筆者 : 久世 芽亜里(くぜ めあり)

久世芽亜里

認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。

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