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『引きこもりの7割は自立できる』目次紹介

10月18日に新潮新書より出版された「引きこもりの7割は自立できる」。
各章の目次と、それぞれの章の内容をかいつまんで説明します。

第1章 子どもを犯罪者にしないために(二神能基) 

  • 農林水産省元次官の息子殺し
  • 問題を家族で抱え込むな
  • 母数が増え、引きこもりの犯罪も増えた
  • 「どうせ解決なんて無理」というニヒリズム
  • 考えるよりも行動を

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この本の導入部です。
2019年の農水省元次官による事件は、やはり大きなものでした。ですが引きこもりに関連した事件は、残念ながら増えています
そしてコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などにより、日本全体が大きなニヒリズムに覆われています。そんな中で、「引きこもりは解決できない」と諦めてしまう人も増えているように思うのです。
引きこもりの問題は、1人の人間の努力で何とかなると、ぜひ捉え直して欲しいのです。次章からの項目を読み、行動をしていただきたいのです。

第2章 家族をひらく(久世芽亜里)

  • 事例①
  • 「引きこもりは家族の問題」という世論
  • 家に抱え込んだら長期化まっしぐら
  • 親はひとつの事例しか知らない
  • 親は親。支援者にはなれない
  • 親がまず子離れせよ
  • 地元から離すことの効果
  • 家の外では子どもは違う顔を見せる
  • 親の考える「理由」はズレている
  • 第三者を家に入れる
  • 第三者に子どもを委ねる
  • 事例②
  • 事例③

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この章は、5年の引きこもりから自立した事例から始まります。
2章から5章は、「引きこもり支援のキーワード」と私たちが考えている内容です。1つ目が、「家族をひらく」です。ニュースタートの活動理念でもあります。
最近は「引きこもりは家族の問題」という風潮はだいぶ変わってきましたが、それでもまだまだ引きこもりの我が子を家に抱え込む傾向はあります。
なぜ親が抱え込んではいけないのか。親は我が子の事例しか知らないこと、親に見せる顔はどうしてもパターンができてしまうことなど、その理由を説明しています。

第3章 「信じて待つ」は3年まで(久世芽亜里)

  • 30年言われ続ける「信じて待ちましょう」
  • いったい何年待つべきなのか
  • 抜け出した人は3年以内が大半
  • ニュースタートの支援はおよそ2年
  • 3年経つと「引きこもりの心と体」になる
  • 引きこもりとゲームの関係
  • 居たくて家に居るわけじゃない
  • 最初の1年の対応を間違えると家は居場所になれない
  • 親も引きこもりに慣れていく
  • いつもの親子の会話パターンが出来上がる
  • 3年で引きこもりが「固定化」する
  • 3年過ぎたら第三者の支援へ
  • 支援はどんどん変えていい
  • 「断らない支援」というトラップ
  • つながり続けることが自己目的化していないか
  • リスクのない選択肢はない
  • 待つことにもリスクがある
  • 「信じて待つ」から「信じて背中を押す」へ
  • 8050問題を前にしても「引きこもりでいい」と言えるのか
  • 事例④
  • 事例⑤
  • 事例⑥

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「いつかお子さんは動き出しますから、信じて待ってあげましょう」
支援者たちが長く言ってきたこの言葉が、多くの長期化した中高年引きこもりを生んだ、いわば戦犯であると考えています。
20年30年待っても、引きこもり続ける人がいる。この現実が国の調査結果ではっきりしました。待つことは間違いではありませんが、「いつまで待つのか」をもっと早く検討すべきだったのです。
ニュースタートが提唱する待つ期間は、基本的に1年、最長で3年です。なぜ3年までなのか、この章ではその根拠の説明に多くのページを割いています。年数そのものに異論が出ることは想定していますので、この章の内容を材料に、多くの方に考えてもらえればと思っています。
また「断らない支援」の項は、支援者の方に向けた内容となっています。あなたの支援は実は、引きこもりの長期化を支援していませんか?

第4章 「まず親子の対話から」という誤解(久世芽亜里)

  • 支援の主流は「まず対話を」
  • 親の相談を受けるのは次善の策でしかない
  • 厚生労働省「ひきこもり支援ガイドライン」の中身
  • 親子の対話のステップで止まっている人が大半
  • 世代による価値観の違い
  • 親だからこそ言えないことがある
  • 一度失った信頼はなかなか取り戻せない
  • 心配そうな親の目線に縛られる
  • 実はコミュニケーション能力がないのは親の方
  • 嫌われたくなくて本音が言えない親
  • 「本人の意思尊重」の落とし穴
  • 子どもの奴隷になったら対話は不可能
  • 「親子だから分かり合える」は幻想
  • むしろ家族以外との対話を目指す
  • 事例⑦
  • 事例⑧

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引きこもり支援のメインは、本人を直接の支援することです。支援機関に本人が来ないので、まず親の相談に乗るのです。
親が相談する中で、「まず親子の対話ができるように」といった話や、そのためのアドバイスを受けます。ですがなかなか対話ができるようにならず、本人支援に進めない人がかなり多いのが実情です。
親子の対話ができない理由は、価値観の違いや、親の方が本音を言えていないなど、様々なものがあります。これだけ多くの壁がある中で、いつまでも親子の対話を目指すのは、建設的ではありません
「まず親子の対話」という思考から離れると、すんなり引きこもりが解決することも多くあるのです。

第5章 引きこもり支援のゴールは自立である(久世芽亜里)

  • 自立に繋がらない支援
  • 「引きこもりでもいい」では救われない
  • 安易に病院に連れて行かない
  • 居場所から次に行かない危険性
  • 勉強を逃げ道にしてしまう
  • 「普通になりたい」と言う若者たち
  • 自立できたら自信が持てる
  • 働けと言ってはいけない
  • 「どんな仕事がやりたいの?」と聞かない
  • 家に居たままで働いても長続きしない
  • 就労支援より「幸せ支援」
  • 自立できないなら家族信託や死後事務委任契約を
  • 「自立できる」と信じて背中を押す
  • 事例⑨
  • 事例⑩
  • 事例⑪
  • 事例⑫

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引きこもり支援で自立できるイメージは、あまりないと思います。ですがタイトル『引きこもりの7割は自立できる』の通り、実はかなりの割合の人が自立するだけの力を持っています
問題は、自立できる人が、自立に向けた支援につながっていないことです。病院や居場所などはゴール設定が自立ではありませんし、ここのマッチングが大切になります。
では自立させるためにはどうしたらいいのか。「働けと言わない」「就労支援より幸せ支援」など、一見遠回りに見える支援、いわゆる就労支援の前段階が必要で、そのポイントについても説明しています。
「自立」は引きこもり支援の大きなゴールの1つです。そしてその人の人生の、大きなステップになります。

第6章 一番イヤでない仕事で食い扶持を稼げ(二神能基)

  • 「失われた30年」とぴったり重なる
  • 欲しいものがない
  • やりたいこともない
  • 下流志向
  • 「役に立っている」と思えれば頑張れる
  • 「一番イヤでない仕事で食い扶持を稼げ」
  • 「お国のため」にも自立を
  • 今後は引きこもりすら減っていく

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この本のまとめの章です。
引きこもりが増え続けたこの30年は、いわゆる「失われた30年」とぴったり重なります。経済が停滞する中で、彼らは上昇志向ではなく「下流志向」を強く持っています。それは今の成熟期の日本に適した生き方とも言えます。
そんな彼らが社会に出るには、「役に立っている感覚」や、「イヤでない仕事を選ぶ」ことがポイントです。
これから引きこもりは、人数の多い50代60代が65歳以上になっていきますから、数自体は減っていきます。この減少の流れを加速したい、そんな思いで書いた本です。

12人の事例

見ていただいて分かる通り、この本では、実際にニュースタートが支援した事例をたくさん書いています。
その人数は何と12人。自立した事例だけでなく、支援がうまくいかなかった事例も入れました。
次回のコラムは、この12人の事例について書こうと思います。

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執筆者 : 久世 芽亜里(くぜ めあり)

久世芽亜里

認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。

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