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親が子どもにできる引きこもりの基本対策|長期化を防ぐためにできること

  • 「引きこもりの対策は何がある?」
  • 「実際に改善できるの?」
  • 「原因って結局何があるの?」

と気になり、不安な気持ちからこのページを開かれたことかと思います。

引きこもりのお子様にできる対策は、原因や状況によっても異なり多種多様です。そして、適切な時期に適切な対策を実施しなければ、そのまま時間が過ぎ長期化していく可能性も十分あります。

このコラムでは、「親御さんがお子様にできる引きこもりの基本対策」をテーマに、具体的な解決策や利用できるサービスまで紹介します。読み終わる頃には、引きこもりのお子様へ向き合う気持ちの準備とあわせて、今まず何からはじめたらよいのか判断できるはずです。

お子様に対してどのように接したらよいのか悩んだときには、ぜひ参考にしてください。

目次

引きこもりは長期化する前の対策が大切

引きこもりは長期化する前の対策が大切

お子様の引きこもりは、長期化する前に対策することがとても大切です。

個人差はありますが、これまでの支援経験と内閣府のデータから、『3年が過ぎる』と親御さんの働きかけがあっても自分から動き出せるケースがグッと減ります。引きこもり開始から3年を過ぎると、そのまま5年10年20年と長期化していく可能性が高くなるのです。

そのため、3年以上が経過して状況が変わっていなかった場合は、「第三者からアプローチする」といった支援の方法に切り替える必要があります。

なぜ3年と言えるのでしょうか。

まず、2018年度に内閣府から公開された「長期化する引きこもりの実態」にある「引きこもりになってからの期間の割合」をみてみましょう。

15〜64歳で3年以上の引きこもりが多く長期化傾向にある

平成27年に実施された調査で、15〜39歳を対象とした結果です。引きこもり期間は7年以上がもっとも高く、3〜5年の割合も多い点も見逃せません。3年以上引きこもっている人が、全体の70%以上を占めています。

長期化する引きこもりの実態
出典:平成30(2018)年度|特集2 長期化するひきこもりの実態|令和元年版子供・若者白書(全体版)
※ニュースタート独自に見やすく作成しています。

次に、平成30年に実施された「40〜64歳を対象とした結果」です。3〜5年の割合がもっとも多く、ついで7年以降も高い水準が続きます。3年以上の引きこもりが全体の70%以上というのは若年層と同じですが、7年以上が全体の半分以上を占めるなど、より長期化の傾向が見えます。

長期化する引きこもりの実態
出典:平成30(2018)年度|特集2 長期化するひきこもりの実態|令和元年版子供・若者白書(全体版)
※ニュースタート独自に見やすく作成しています。

広義のひきこもり群の者がひきこもりの状態になってからの期間は、3~5年の者の割合が21.3%と最も高かったが、7年以上の者の割合が5割近くを占めており、平成27年度調査の結果より高かった。結果を比較したところ、ひきこもりの状態となってから7年以上経つ者の割合が増加しており、ひきこもりの長期化傾向がうかがわれた。

出典:平成30(2018)年度|特集2 長期化するひきこもりの実態|令和元年版子供・若者白書(全体版)

自然と引きこもりから抜け出せるなら、年数が少ない人ほど割合が高く、年数と共にだんだんと数値が下がるグラフになるはずです。ですが内閣府が公開した調査の結果ではどちらも、3~5年で数値が上がり、その後も高い水準が続いています。つまり、多くの人が引きこもりを抜け出せないまま、ただ年数を重ねているのが実情なのです。

そして3~5年で一度数値が上がります。これは、3年で引きこもりを抜け出す人がグッと減っているためだと推測できます。2年まではある程度の人が引きこもりを抜け出すため、数値が低く抑えられているのです。

更に引きこもりから脱出した人のうち7割が3年以下というデータもあります。こちらの動画で分かりやすく説明しています。

3年を過ぎると何も考えなくなる

3年と言える根拠は、他にもあります。私たちの支援経験です。

引きこもっていた当時のことを聞くと、「最初の数年はどうしようと色々と考えていたが、3年くらいで何も考えなくなる」と答える寮生や卒業生がかなりいるのです。

最初は引きこもりから抜け出したくてあがいていたけれど、ある時点から諦めて、淡々と日々を過ごすようになります。その境目でよく出る年数が、『3年』です。

本人がこのような気持ちになっているなら、3年から引きこもりを抜け出す人が減るのは当然です。親御さんの働きかけがあっても、動き出すのは難しくなります。

引きこもりから3年を過ぎたら、そのまま長期化するコースに入ったのだと考えてください。ですから引きこもり始めから3年まで、そして3年を過ぎてすぐの対策が大切になります。

3年以上経過している場合は、早めに第三者からの支援を検討してください。詳しくは、こちらのコラムにある「第三者に支援を依頼する」で説明しています。

引きこもりの状態からできる対策は大きく分けて3つ

引きこもりの状態からできる対策は大きく分けて3つ

引きこもり状態にあるお子様に、親御さんが行える対策は大きく分けて3つあります。そしてそれぞれに「適した時期」があります。時期によって適した対策が変わる、というのがポイントです。

  • まずは「待つ」という選択から
  • 親から子どもへ支援する
  • 第三者に支援を依頼する

まずは約1年間を目安に、待ってみましょう。その後は待つのをやめ、具体的に支援をしていきます。最初の2年は親御さんによる支援で構いませんが、引きこもりから3年以上が経過したら第三者に支援してもらう流れです。

引きこもりにはどうしても個人差があるため、全員にあてはまるとは限りません。このような流れはあくまで例ですが、「どうして期間があるの?」という疑問に答えながら、それぞれ説明しますのでぜひ参考にしてください。

(ニュースタートの支援対象は18歳以上で、その支援経験からこの内容をお伝えしています。お子様が18歳未満の場合は、より早い対応の変化が適していると思われます)

まずは「待つ」という選択から

まず、親御さんが引きこもり状態のお子様にできる対策が「待つ」ことです。

ただし、ただ待つのではなく、家の居心地を良くして本人の回復を待つ期間と考えてください。動き出すためのエネルギーをためる期間です。

引きこもりになった直接の原因は人間関係や失敗など様々ですが、多くの人が傷付き、自分に自信を失っています。その状態のまま無理に動き出しても、なかなかうまくいきません。

お子様がそっとしておいて欲しいタイミングで、親御さんから「早く働きなさい」といった言葉を投げかけてしまうと、プレッシャーから更に落ち込んでしまうかも知れません。

こうしたお子様がゆっくり回復できるように、居心地を良くして、自ら動き出す・何かを希望することを待つ期間です。

ただし、ここで注意して欲しいのが「待つ期間」です。

待つ期間の目安は「1年」

お子様の回復を待つ期間は『1年まで』にしましょう。

個人差はありますが、落ち着いた環境で過ごしていれば、およそ1年で大きな心の傷は回復します。本来なら自らの力で引きこもりから脱出できるお子様の場合、ここで動き出します。

引きこもり生活が1年を過ぎても動き出せないなら、このようなことが考えられます。

  • 回復だけでは動き出せない、他の何かが必要
  • 今の環境では回復ができない、または時間がかかる

どちらにしろ、そのまま待ち続けても動き出す可能性は低いでしょう。ここで自ら動き出せないお子様を何年も待ち続ける親御さんもいますが、お子様のこれからの人生を考えると、あまりお勧めはできません。

子どもが引きこもる気持ちを理解して寄り添う

この1年が、いわゆる「初期対応」です。ふつうの病気でもそうですが、この初期対応の善し悪しが、その後に大きく影響します。

この期間は、お子様の気持ちを理解し、寄り添うことを心がけてください。お子様が居心地よく過ごせるようにします。親御さんの意見をお子様に一方的に伝えたり、引きこもりを否定したりしないことが大切です。

逆に言えば、この時期に親御さんに否定された、理解してもらえないとお子様が感じてしまうと、その後どんなに対応を変えても本音を打ち明けてもらうのは難しくなります。数年後に親御さんが態度を改め、頑張って寄り添おうとしても、「どうせ口だけ」などと思われてしまいます。

ですからこの『1年』は、この内容を知ってから1年ではなく、引きこもりが始まってから1年です。すでに引きこもって3年が過ぎているなら、「今から1年寄り添ってみよう」と思わずに、「第三者に支援を依頼する」へ進んでください。

引きこもりを長期化させないために、1年という期限を定め、まずは見守り回復を待つことが最初の対策になります。

親から子どもへ支援する

待つ・見守るを1年やってみて動き出さないようなら、「親から子どもへ支援する」対策に切り替えます。親御さんが働きかけていくのです。

回復だけでは動き出せない、他の何かが必要かも知れないと先程お伝えしました。なら何が必要なのか、試しながら探してください。

  • 家から出られない → 可能な範囲から一緒に外出してみる
  • 人間関係に苦手 → 人と接する練習ができるところへ
  • 自分に自信が無い → 家事の手伝いなどで成功体験を積ませる
  • 鬱など病気がある → 病院へ

これはほんの一例です。引きこもりは多様で、どんなステップが必要かは人により違います。後ほど具体的な対策についてもお伝えします。

1年目の「待つ」との大きな違いは、親の考え方のベースが、「今は引きこもっていても良いよ」から「そろそろこのまま良くないよね」に変わることです。親御さんも実際そう思っていらっしゃることでしょう。だからこそ働きかけをしてきます。

もしお子様をどう支援するか迷ったり、どうしたら良いか分からないのであれば、第三者に相談してみてください。このタイミングから第三者に支援をお願いするのも1つの手です。

同じ支援は2年まで

また、同じ支援を続けるのは『2年まで』を期限としましょう。

引きこもりの人が抱える問題は多様で、支援にも様々なものがあります。合わない支援を続けていても、状況は変わらず、引きこもりが長引いていきます。

お子様にとってその支援が適切か、どこかのタイミングで判断する必要があります。この支援が合わないと思われたなら、他の支援に変えましょう。2年もあれば、その判断はできるというのが私たちの印象です。

親御さんが支援をしてみるというのが、2つ目の対策です。2年間やってみても具体的な動きにつながらないのであれば、次の「第三者に支援を依頼する」に対策を変えましょう。

第三者に支援を依頼する

まず1年間は「待つ」、その後2年間は親御さんが支援してみる。そうすると、引きこもりが3年になっています。

先程お伝えしたように、3年を過ぎると引きこもりから抜け出しにくくなります。お子様本人も、諦めてしまっているかも知れません。

こうなると、我が子の引きこもりしか知らない親御さんでは、どうしても対応し切れなくなります。できる支援が思いつかなかったり、思わず感情的になってしまったりします。

家族だけで抱え込まずに、経験豊富な第三者に関わってもらう行動力が大切です。まずはただ相談するだけでもよいので、「家庭内で抱え込まないこと」を意識して動き出してください。

2年で支援を変える

引きこもり全員に通用する、万能な支援というものはありません。依頼した第三者の支援がお子様に合っているか、これもまた2年程度で判断する必要があります。

「同じ支援は2年まで」は、親御さんの支援でも、第三者の支援でも同じです。やってみて変化がなければ、別の支援を探しましょう。

実際にニュースタートが支援する方でも、「いくつもの支援を受けたがうまくいかず、やっとこちらを見つけました」とおっしゃる親御さんがたくさんいます。「どこにも相談したことがありません」とおっしゃる親御さんの方が少ないです。

様々な支援を渡り歩くのは、悪いことではありません。同じところで立ち止まらずに、合う支援を見つけることが、お子様のためにも大切です。

第三者の支援を探して依頼する、時には別の支援に移ることが、親御さんができる3つ目の対策になります。まずは相談することから始めましょう。

ちなみに、どこに相談したらよいのか具体的に思いつかない場合は、後ほど利用できるサービスの代表例を紹介するので参考にしてください。

親ができる支援は?おすすめの引きこもり解決策

親ができる引きこもりの子どもにおすすめの解決策

最初の1年は「待つ」、その後は親御さんが実際に支援をしていきます。では、具体的にどんなことができるでしょうか?

ここでは、親御さんができる支援の具体的な内容を以下に分けて紹介します。どれか1つで解決するというものではなく、総合的に取り組むのがいいでしょう。

  • 子どもの話を聞く
  • 家庭環境や親自身の改善に取り組む
  • 子どもに外へ出る理由を作る
  • 情報を与える
  • 第三者に相談する

ぜひ参考にして、引きこもりが長期化する前に解決しましょう。引きこもって3年が過ぎ、第三者を入れる段階になっても、できることがあればしておくといいと思います。

子どもの話を聞く

まず最初に親御さんが思いつく、できればやりたいと思われるのは、お子様の話を聞くことでしょう。

何に悩んでいるのか、これからのことをどう考えているのか、やってみたいことはあるのか。気持ちが聞き出せれば、親が何をしたらいいのかがよく分かります。

話を聞くということは、お互いが何度も言葉を交わして『キャッチボール』ができている状態です。

すでに全く会話がなくなっているようだと難しいですが、日常会話はできているなら、お子様の話を「きちんと聞く」ことを試してみてください。

「いつから働くの?」、「動きなさい」などの言葉を投げかけるだけになっていないか思い返してみましょう。一方的な意見を伝えて返事をもらっているだけでは、お子様はいつまでも本音を話してくれません

また、子どもとの関係が壊れないように、嫌われそうな言動を避けている場合も要注意です。親が本音で話していないことを、お子様はすぐ見抜きます。お子様はそんな人に自分の本音を出したりはしないでしょう。

ただし、お子様の話を聞くことが全てではありません。他のアプローチでも十分解決はできますので、会話がうまくいかなくても心配しないでください。

こちらのオンラインセミナーで、支援の中で親子の会話をどう考えるかをお話しています。

家庭環境や親自身の改善に取り組む

引きこもりを改善するために、多くの親御さんは「お子様を変えよう」とします。ですがその前に、家庭環境や親自身を振り返ってみてください。

以下の家庭環境がお子様の引きこもりを助長する可能性があります。

  • 家庭内の不和や離別
  • 家庭内の孤立
  • 両親からの過干渉

こうした状態では、子どもは自分の気持ちを親に伝えられず、相談する先を失ってしまいます

また、家庭環境に具体的な問題がなくても、親御さんの考え方で長期化しているケースが多くあります。親自身の改善にも取り組み、『子どもを動かせる親になる』ことも大切です。

  • 小さな目標を立てる
  • 自分だけで何とかしようとする
  • 夫婦の意見が一致しなければいけないと思う
  • 心配しすぎてしまう
  • 一回の働きかけで何とかしようとする
  • 子どもに嫌われたくない
  • 子どものNOを怖がる
  • 就労だけを追い求める
  • 子どもの意見を尊重しようとする
  • 問題を先送りする癖がついている

これはなかなか解決できない親御さんの特徴です。こうした項目に1つでも当てはまったら、親御さんから改善に動き出しましょう

お子様の引きこもりが長引くほど、解決が大変になります。お子様を変えることも大切ですが、そう簡単ではないでしょう。そんな時はまず、家庭環境や親自身の改善に取り組んでみてください。

子どもに外へ出る理由を作る

親御さんがお子様が「外へ出る理由」を作り、家から出かけさせましょう

一度外出をしなくなると、外への恐怖心がだんだんと高まり、家から出ることが難しくなっていきます。なので小さなお手伝いでも構いませんから、時々外出させるようにしましょう。

  • すぐに動けないから買い物に行ってほしい
  • 荷物が持てないから一緒に出かけてほしい
  • 調べたいことがあるから連れていってほしい

そうやって外出へのハードルが上がらないようにしてください。外にしてみたいことや、行ってみたいところが見つかったときに、スッと動ける状態を保っておきます。

情報を与える

お子様が利用できそうな引きこもり支援や、その他興味が持てそうなことなど、様々な情報を本人に伝えてください

次の項で引きこもり支援で利用できるサービスをお伝えします。共同生活寮などの施設や、訪問支援、就労支援などがあります。

まず親御さんだけで相談に行ってみて、その感想も一緒に伝えるのも1つの手です。参加へのハードルを下げるために、親御さんが約束を取り付けてもいいでしょう。

特に当事者会・居場所は、同じような境遇にいる仲間の意見を聞くだけで、気持ちが楽になりますお子様が自分らしくいられる居場所を見つけることは、とても大切です。

そのほかお子様が興味がありそうなイベントなど、引きこもり支援に限らない幅広い情報を探してみてください。

ここでよく親御さんがしてしまう失敗は、「就労の情報だけに偏ってしまうこと」です。求人の情報ばかりでは、「とにかく働いて欲しいんだろう、こっちの気持ちを考えてくれていない」と思われてしまうので、気をつけましょう。

どこでお子様の気持ちが動くかはわかりません。同じ情報でも、お子様の気分によって響き方は違います。反応が返って来ることは期待せず、情報を伝え続けてください。

第三者に相談する

  • 「でもやっぱり、親が支援って何をすればいいのか分からない」
  • 「このやり方で合っているの?」

親御さんは我が子であっても引きこもりを支援するなんて初めてでしょうから、どうしても不安になるでしょう。具体的にどんな支援がいいのか、第三者に相談してみるのもいいでしょう。

支援者への相談に限らす、グループ活動に参加して同じような境遇の人がどうしているのかを知り、意見を得たりするだけでも視野は広がります。

ここで第三者に支援を任せるという判断も、1つの手です。

過保護に守り続けることで、自分で何も決定できずに引きこもりを助長するケースは多くあります。親が子離れして、子どもが親離れするというイメージで、「第三者に任せて自分は離れてみる」というのも1つの対策になるでしょう。

また、自らがよいと思っている支援が子どもにとって無言の圧力を生み出しているケースもあります。

  • 他に居場所がないから自室に篭っていただけ
  • 親が心配そうに見る目が不安に追い込む拷問のようだった
    ※ニートがひらく幸福社会ニッポンより

親にそのような思いや気持ちを持っていなくても、知らないうちに子どもを追い込んでしまいます。こうした状況にならないためにも、第三者のアドバイスや協力を「変化の一歩」のきっかけにしてください。

もし不安があるようなら、ぜひ相談してくださいね。

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引きこもりの対策で利用できるサービス

引きこもりの対策で利用できるサービス

引きこもって3年を過ぎたら、第三者に支援を依頼します。具体的にどんな支援があるのでしょうか。

引きこもりの対策で利用できる代表的なサービスは、以下の通りです。

  • 共同生活寮・施設で経験を積む
  • 訪問支援を受けて社会と繋がりを作る
  • 就労支援を受けて働く
  • 講習会を受けて知識を付ける
  • 当事者会・居場所の開催

お子様や親御さんが利用できるサービスは豊富にあるため、自分に合ったものから試してみてください。

共同生活寮・施設で経験を積む

共同生活寮・施設は、同じ境遇の仲間たちとのコミュニケーションや仕事体験によって、引きこもりから社会復帰を目指せる場所です。

このサービスの最大の利点は、自宅から通うサービスと比べて、抜群にコミュニケーションの練習になるということです。「他人がいる環境に慣れて緊張しなくなる」というのは、就労するにも大切なことです。

ニュースタート事務局の共同生活寮を例にすると、『働き』の経験を重ねたり、地域イベントやボランティアで『役立ち』の社会参加体験を積み重ねたりします。

こうして仕事以外で社会に繋がっていく力をつけていき、就労をゴールとしないで「後の人生まで繋がる」支援を受けられるサービスです。

何より、「近所の人の目が気になる」「昔いじめを受けたので、同級生にばったり会うのが怖い」という理由で外出が難しかった人のほとんどが、地元を離れると、スムーズに外出できるようになります。自分を知らない人ばかりの地域に行く効果は、実はとても大きいのです。

共同生活寮や施設は、お子様に同意をもらってはじめて利用できます。そのため、引きこもりの子どもが部屋から出るために必要な前段階の支援まで検討しておきましょう。ニュースタートではそのために訪問支援をご利用いただけます。

訪問支援を受けて社会と繋がりを作る

先ほど軽く触れた、部屋から出るために必要な前段階の支援の代表例が「訪問支援」です。

  • 親からの支援だけでは改善が困難
  • 引きこもりから3年が経過している
  • 親のせいと責められる・親を拒否している

上記のような状態から脱出するために、第三者が訪問を重ね、少しずつ慣れて心を開いてもらい、「お子様と外の世界」を繋ぎます

お子様を専門機関や病院に連れて行かなくても前に進むきっかけを得られますし、家から出られなかったり、自分からは相談できなかったりする気持ちに寄り添えるのも特徴です。

訪問支援のことは、こちらのコラムで細かく説明しています。興味がある方はご覧ください。

就労支援を受けて働く

次に、引きこもりの対策として「就労支援」を受けられるのも大きな第三者支援の特徴です。

代表的な就労支援は、地域若者サポートステーションです。キャリアカウンセラーに就労の相談が無料ででき、外部企業で仕事の体験や、各種セミナーを通して就職を目指せます。

例として、ニュースタートが連携しているサポステでは、以下の提携企業で就職支援が受けられます。

  • 物流倉庫内軽作業
  • スーパーマーケット
  • IT企業
  • 学童保育
  • 障害児学童保育
  • 調理補助
  • ホテル内レストラン
  • ホテル客室清掃
  • 高齢者介護施設
  • ハウスクリーニング

体験を通してさまざまな仕事や働き方を知り、就職へと繋げていきます。その他、パソコン講座などにも無料でご参加いただけます。

こうした取り組みによって、働くことへの不安を解消できて、自信がやる気に変わります。また、コミュニケーション力が育つと対人への恐怖心も薄れて外の世界へのハードルを下げられるのも特徴です。

講習会を受けて知識を付ける

※実際にニュースタートで公開している講習会
(事例部分はその方のプライバシーの問題がありますので、常時公開はしておりません)

講習会(セミナー)は、引きこもりに関するテーマでさまざまな講師の話を聞いたり、直接相談できる機会を得られる支援です。

例として、ニュースタートでは以下の疑問を解決するテーマで、実際の支援や事例を学べます

  • 子どもの気持ちがわからない
  • 何をしたらよいのか困る
  • 支援って何が受けられるのだろうか

また、ニートや引きこもりのお子様を抱える保護者の人だけに限らず、当事者に向けた講習会を開いている支援団体もあります

講習会は、第三者の意見を支援に取り入れるきっかけになりますし、受けられる支援をみつけることにも役立つでしょう。

ニュースタートでおこなってきた過去の講習会や、新しい講習会のお知らせは以下でチェックできますので参考にしてください。

>>NEWS/メディア掲載一覧

当事者会・居場所の開催

他にも、当事者会・居場所事業などの「当事者が集まり意見を交換できる場」を提供する支援もあります。

実際に集合場所へ個別で集まる方法が主流ですが、オンライン当事者会もコロナ禍で増えました。自分のカメラを切り、見ているだけでもいいなど、参加へのハードルは下がっています。

ゆるく参加できたり、安心して過ごせる場所を提供する支援ですので『明確に何かの問題を解決するテーマに沿った集まり』のイメージとは少し違います

お子様が同じような境遇の仲間と集まって、自分らしく過ごしたり、交流したりしながら自分のことを改めて考えられる場として提供されています。

当事者会や居場所は、当事者たちが自ら集まって作っているもの、支援団体が作っているものが大半です。行政ではまだ設置率が低く、現在設置を進めているところです。

【補足:行政の居場所事業】

行政がおこなっている居場所事業は、厚生労働省が公開している情報を参考にすると以下の3つです。

  • ひきこもり地域支援センター設置運営事業
  • ひきこもり支援に携わる人材の養成研修
  • ひきこもりサポート事業

こちらの取り組みはスタートしたばかりで、地域支援センターの設置が追いついていないなどの地域も多くあります

2022年1月時点で、全都道府県で確実に利用できるのは「相談場所のみ」です。

引きこもりの対策で迷ったら気軽に相談してください

もし、引きこもりの対策でお悩みでしたら「ニュースタート事務局」へ気軽に相談してください。

今回挙げたこの5つの引きこもり支援サービスのうち、最後の「当事者会・居場所の開催」を除く4つのサービスを、ニュースタートは行っています。だからこそどれがお子様に適しているのかを判断できます。

  • 共同生活寮・施設で経験を積む
  • 訪問支援を受けて社会と繋がりを作る
  • 就労支援を受けて働く
  • 講習会を受けて知識を付ける
  • 当事者会・居場所の開催(ニュースタートでは実施しておりません)

ご相談いただければ、経験豊富なスタッフからアドバイスや支援を提案します。

お問い合わせはこちら

引きこもりの原因や年数に合わせた対策が長期化を防ぐ

引きこもりの原因は多様

お子様の引きこもりには、原因に合わせた対策が長期化を防ぐためにも大切です。

一言に「引きこもり」とまとめても、きっかけは子どもによって異なりますので「多様性」があるといえます。

不登校や仕事に関わることだったり、病気や原因がわからないケースもあるほどです。

そして、原因が多様であることは、必要な支援も多様だということです。

お子様が引きこもりとなった原因がわからない場合、安易に自己判断してしまうと長期化を招きます。

親御さんに原因があると考えている子どもが暴力的になったり、無理に外へ出そうとして事件に発展したりするケースは少なくありません。

引きこもりの原因にどんなものがあるかは、こちらのコラムで触れています。上記の対策で本当によいのか不安なときには『第三者へ相談』してから動き出しましょう。

>>引きこもりの原因は?仕事・不登校・病気・親、どれが多い?徹底解説!

引きこもり年数で対策を変える

今回のまとめです。

まずは引きこもり1年まで、そこから2年間、3年以上と、引きこもり年数によって適した対策が違います

  • まずは「待つ」という選択から
  • 親から子どもへ支援する
  • 第三者に支援を依頼する

2つ目の親から子どもへの支援には、こういった内容が考えられます。どれか1つではなく、できることに総合的に取り組みましょう

  • 子どもの話を聞く
  • 家庭環境や親自身の改善に取り組む
  • 子どもに外へ出る理由を作る
  • 情報を与える
  • 第三者に相談する

引きこもりの対策で利用できる代表的なサービスは、以下の通りです。3つ目の第三者に支援を依頼する時には、この中から親御さんが選択することになります。

  • 共同生活寮・施設で経験を積む
  • 訪問支援を受けて社会と繋がりを作る
  • 就労支援を受けて働く
  • 講習会を受けて知識を付ける
  • 当事者会・居場所の開催

引きこもりの人たちは多様です。適切なタイミングで適切な対策を行うことが、引きこもりの長期化を防ぐのです。

とは言え、引きこもりの対策も多様なため、親御さんがご自分でどの対策がいいか判断するのは大変なのは間違いありません。

引きこもり対策で悩んだらニュースタートへ相談してください

認定NPOニュースタート事務局では、数多くのお子様を社会へ繋げてきました。スタッフには引きこもり経験者も多く、当事者の気持ちに共感して支援にあたります。

子どもを育てるために、親は2人では足りません。そして、親御さんの世代とは大きく変わった価値観の違いは、気がつかないうちに子どもと親の間に溝を作ります。

  • オンライン個別相談
  • 個別相談
  • 無料見学会
  • なんとかしよう親の会
  • 保護者面談
  • 講演会 など

支援前から利用できて、これからを考える新しいアイデアや知識を得る場としてもお役立ていただけます。

引きこもりのお子様にできる対策に迷ったときには、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

引きこもりの対策に関するQ&A

引きこもりの対策に関するQ&A

最後に、引きこもりの対策に関して多く寄せられる質問の中から、いくつか抜粋して回答します。

  • 引きこもりの対策を他人に依頼しても良い?
  • 子どもが家を出たがらないのは引きこもり?
  • 引きこもり対策をしない方が良いケースもある?

気になる疑問を解消して、今後の支援に役立ててください。

引きこもりの対策を他人に依頼しても良い?

恥じることではなく、専門家に依頼したからこそ長期化した引きこもりから脱出できたケースは多くあります

家族に心を開かないから無理だろうと、対策を他人(第三者)に依頼しない親御さんは意外に多いです。

しかし、我が子しか知らない状態で支援するには選択肢が少なく、似たようなアプローチを続けて『結果として引きこもりが長期化する』こともしばしばあります

また、それぞれの家庭で親としての役割が異なり、価値観や状態も多様です。そして、その数だけ多様な支援があるのも事実です。

大切なのは、専門家に依頼する恥じらいやプライドではなく『引きこもりのお子様をどのように動かすか』

引きこもりから3年以上が経過していたり、何をしたらよいのか迷ったりしたときにはお気軽にご連絡ください。

子どもが家を出たがらないのは引きこもり?

一般的に働いており、休日に外出しないといったケースは引きこもりに該当しないと思われます。

休日は、自由にその人らしく生きるために必要なものであり、年齢層ではなく個性・性格によるものと考えられるからです。

また、お金を一定以上ためて引きこもり、また仕事をしてお金をためて…。と「自力」で繰り返す過ごし方をする卒業生もみてきました。

まずは、そもそも引きこもりといえる状態なのか、家から出たがらない理由はないのかなど「一歩立ち止まって考えてから」動き出すのが大切です。

人やそのほかの家族などの第三者の意見を取り入れると、また違った見え方で捉えられることもあります。

引きこもり対策をしない方が良いケースもある?

大切なのは、引きこもりのお子様がいる「家庭環境や現在の状態がどうなっているか」です。

引きこもりとなってから「1年待っても動き出していない」・「3年以上が経過している」などの場合は、専門家や第三者の判断が必要となります。

当コラムで紹介したように、原因は多様で対策もそれだけ豊富にあります。そのため、安易に対策しないで様子をみると、それだけ長期化を助長しやすいです。

引きこもりのお子様にできる対策に迷ったら、まずは相談してください。

まとめ:引きこもり対策は抱え込まず早めに相談

まとめ:引きこもり対策は抱え込まず早めに相談

お子様の引きこもりにある背景はそれぞれで、対策も状況によって異なります

そして、引きこもりが長期化する前の対策がとても大切です。

個人差はありますが、3年以上が経過している場合は『お子様が自ら動き出せるケース』が減ります

家庭内で抱え込んでしまうと、さらに状況が悪化して生活まで苦しくなったり、親御さんがいなくなったあとの生活に不安が残ったりします。

もし、ただ待つ状態から1年が経過している、3年以上が経過して状況が変わっていない場合は、「第三者」へ相談することを検討してくださいね。

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同じ引きこもり・ニート状態であっても、その状況はそのご家族によってみな違います。
ニュースタート事務局では、ニート・引きこもりの解決のために、あなたの息子さん・娘さんに最もよいと思われる方法を、豊富な経験からご提案いたします。

監修者 : 久世 芽亜里(くぜ めあり)

久世芽亜里

認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。

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