2020年の引きこもり支援を振り返って

コンビニは通える引きこもりたち 記事(千葉日報・KHJ家族会たびだち・月刊ガバナンス)

間もなく2020年、令和2年が終わろうとしています。
今年はコロナウイルスにより、例年とは全く違う1年となりました。

何もかもが止まった春

年明け頃は、コロナはまだ遠い世界の話。
2月のニート祭りは通常通り、会場に100人以上がぎっしりと集まりました。
今となっては懐かしい光景です。

春になり、一気に状況が変わり始めます。
3月の若者講演会は、4月に一度延期したものの、緊急事態宣言も出て結局中止に。
例年5月に行っていた講演会は、やはり6月に延期。
定員を半数にし、首都圏1都3県の計4回の予定を、何とか東京の1回のみ開催しました。

この時期は相談電話すら少なく、施設内はとにかく静かでした。
訪問支援は、親御さんが希望したケースのみ継続。
すでに市川市にも感染者が出ていたため、寮生を親元に帰すという選択肢はなく、全員がそのまま寮生活を送りました。

平和に引きこもる寮生たち

寮生が外出や外の人と接する機会は極力減らし、「ニュースタート内にみんなで引きこもる」という状況に。
引きこもりの大先輩である寮生たちは、特に動揺もせず見事な平常心、何とも平和に引きこもりの日々を過ごしていました。

寮生同士の交流はあり、孤立感を感じずに済んだことは大きかったかも知れませんが、コロナ鬱のような人は皆無。
こちらも就活を勧めることもできず、卒業に向けて尻を叩かれない寮生たちは、解放感すらあったような気がします。

じわじわと動き始めた秋

夏の盛りを過ぎる頃になると、止まっていた時間が少しずつ動き始めます。
「まだまだコロナは収まらない、もう待てない」と親御さんも考えだしたのでしょう。
相談電話の数がじわじわ戻り、8月に開催した若者講演会は、やはり定員を減らしましたが、ほぼ満員。
寮生もズルズルと先延ばしにしていた就活を始め、次々と卒業していきました。

10月には初のオンライン講演会を開催し、たくさんの方にご視聴いただきました。
11月には定員を半分にして、首都圏1都3県で講演会を開催。
追加の回も実施するほどで、恐る恐るではありますが、「コロナ禍でも何とかしたい」という親御さんの気持ちが感じられました。

スタッフ側も、初のオンライン講演会、ホームページのリニューアル、書籍の発売、お遍路巡礼リレーなど、例年以上に慌ただしく過ごしていました。
12月現在は、新たな寮生も入り、以前のような活気がだいぶ戻って来ています。

動く親と動かない親、その差は

直に会う訪問支援、寮生同士が直に顔を合わせる寮。
これは他に代わりが効きません。
講演会や個別相談、一部の訪問支援など、多少のオンライン化は進みましたが、ニュースタート全体の活動はそこまで変わらず、今年を終えました。

秋頃から感じたのは、コロナ「でも」動く親御さんと、コロナ「だから」動かない親御さんの、二分化です。
感染は怖いですから、どちらが正解とは言えません。
でも「情報収集だけでも、今できることをする」という意識のある親御さんと、「何もかも先送りにする」親御さんが、はっきりと分かれたという印象です。

引きこもりを長期化させる親とさせない親、その差がそのまま見えたような気がしました。

「今できることはないか」を考える

オンライン講演会を視聴してみる。
電話で相談してみる。
オンライン個別相談を受けてみる。
メールマガジンを取ってみる。
書籍を読んでみる。

コロナ禍であっても、「今できること」は、必ず何かあるはずです。
そういった選択肢は、なるべくご用意しているつもりです。

訪問も寮も、コロナ対策をしながら、支援活動は変わらず行っています。
コロナを気にしながら、訪問支援や入寮を決断する親御さんも、何人もいらっしゃいます。

コロナを理由に立ち止まらず、「今できること」を探してください。
そして来年は、解決に向けた一歩を確実に踏み出す年にしていただければと思います。

久世

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執筆者 : 久世 芽亜里(くぜ めあり)

久世芽亜里

認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。

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