講師のご報告~中高年ひきこもりの親に届いたのか?

10月18日、長野県松本市で講師を務めさせていただきました。
その報告を少し書こうと思います。

参加者は29名。
5つのテーブルに分かれ、3テーブルが主に親、2テーブルが支援者などでした。

ご依頼くださった市の職員の方は、以前私の本を紹介した際に、「信じて待つは間違いだっていうんですか!?」と、ある母親に言われたそうです。

長期化しているケースでは、よくあることです。
そのまま、信じて待っていたらいいんですよ」と誰かに言ってほしい、今までを肯定してほしいのでしょう。

講演を依頼された際は、対象者と、その方々に何を伝えたいかを決め、内容を考えます。
今回は、これしかありません。

「信じて待つ」にすがりたい親に、「信じて待つ」以外の選択肢の存在を見つめてもらう】

講演当日。
前半では、過去のニュースタートの講演でも紹介した3人の事例と、実際の言葉をお伝えしました。

後半のグループワークの前に一旦休憩が入り、そこで何人かの母親が退出していきました。
後から職員に聞くと、その中に件の母親もいたそうです。

そしてグループワークでは、私も各テーブルを回り、質問に答えました。
最初の親のテーブルで1人1人と話をしてしまい、そこでだいぶ時間を費やし、閉会後に最後のテーブルに向かうことになりましたが。
時間配分は完全な失敗です。

驚いたのは、テーブルでお話を聞いた方のお子さんの年齢が、全員20代だったこと。
つまり30代40代のひきこもりを抱える、今回私が想定していた「信じて待つ」にすがる親は、全員が休憩時間で退出していたのです。

心が痛くて離席した、つまり『届いた』
そうであることを願っています。

何より、ニュースタートに届く相談の年齢層がどんどん下がっていったのと、恐らく同じ構造ですね。
中高年の親の多くは、やはり待ち続けるんです。
でもその中の一部の方にでも、伝わっていてほしい。

そして残ってくださった親と話をしていると、「信じて待つ以外を初めて聞きました」と言われました。
グループワーク中のアドバイスでも、「そんなことを言われたのは初めて」と。

ニュースタートの当たり前が、こんなにも驚かれる。
選ばれないのではなく、選択肢自体が知られていない

なら伝えていかなくては」と心を新たにしました。

お声をかけてくださった、松本市青少年ホームの職員さん、ありがとうございました。
参加者の方々の中に「信じて背中を押す」という新たな選択肢が生まれ、未来が明るくなることを願っています。

※講演やセミナーのご要望がありましたら、お問い合わせください。

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執筆者 : 久世 芽亜里(くぜ めあり)

久世芽亜里

認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。

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