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ニート・引きこもりの親子、友達親子タイプ

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友達親子の嘘

そんな父親や、母子密着の強い母親たちとは、一見まるで違うように見える親がいます。
原宿や表参道を似たようなファッションで娘と歩く母親たちです。
そんな母子を近頃は「友達親子」と呼ぶそうです。
最近はお母さんも若々しいから、実年齢差ほどにも見えない。
だから、「友だちみたいな母親と娘」とう意味で「友達親子」と呼ぶようです。

ただ、本当に、「友達」なのかというと、もちろんそれは違います。
友達親子では、お母さんは表面的なところだけ、ものわかりのいい母子関係を装いがちです。
一緒に家族旅行してみたり、原宿を歩き、機嫌がいいと「あなたは好きな人生を生きればいい」みたいなことを言ってみたりします。

では、お母さんが多様な人生観を持っているかというと、そうではありません。
また、母子間で一定の仕事観を共有しているわけでもない。
やはり普通のお母さんと同じように「いい学校、いい会社」幻想がどうしてもあるのです。
そのため、娘が仮にその「いい学校、いい会社」ラインから少しでも外れようとすると、猛烈にそこに引き戻そうとします。
あるいは、ただただ慌てふためいてしまう。
そんな事例が最近非常に多いように思います。

本当に友達親子というスタンスに立つには、子どもが生きていく展望を、親御さんがかなり幅広く持っている必要があります。
数多くの人生の選択肢を、子どもに示してあげられる親でないといけない。
それができないなら、表参道を歩いている間は「友達親子」でも、子どもが不登校やニートになった瞬間に、ガラリと変身してしまう可能性が高いのです。

現に、私のところに相談にくる親御さんの大半は、
「高校生までは成績もそこそこよくて、ほとんど手がかからなかった子なんですが・・・・・」
とうなだれながら口にします。
要するに、それまでは親に逆らうこともなかった子どもだから、不登校やニートになると、同じ子どもが突然変身してしまったように見えてしまうのです。

そのときはじめて、「友達親子」の仮面を脱ぎすて、親という権力者として荒れ狂うか、子どもの変身に慌てふためくかのどちらかのタイプに分かれます。
どちらにしても、子どもの問題解決にはとても無力です。

かつての大家族の家父長制みたいな、強権的な父親の下での固い家族スタイルは、過去のものです。
いまの核家族は、表面的にはもっと横並びで柔らかい。
とりわけ「友達親子」は一見ものわかりがよさそうです。
しかし、親子間の基本構造は何も変わっていないのです。

>>次回

「希望のニート」二神能基著 2005年6月2日刊行 より

このテキストは株式会社東洋経済新報社(以下「出版社」という)から刊行されている書籍「希望のニート」について、出版社から特別に許諾を得て公開しているものです。本書籍の全部または一部を出版社の許諾なく利用することは、法律により禁じられています。

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執筆者 : 二神 能基(ふたがみ のうき)

二神能基

認定NPO法人ニュースタート事務局理事。1943年生まれ、早稲田大学政治経済学部卒。1994年より「ニュースタート事務局」として活動開始。千葉県子どもと親のサポートセンター運営委員、文部科学省「若者の居場所づくり」企画会議委員などを歴任。現在も講演会やメディアへの出演を行う。

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