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ニートが生まれる時代ーー人生や仕事に希望が持てない

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人生や仕事に希望がないからニートになる

第1章にも書きましたが、学校や職場に自分の居場所を見出せないのがニートだとすれば、引きこもりはニートの一部というのが私の理解です。

一般的な定義は「半年以上、家族以外の人間関係を持たないという状態」が引きこもり、「家族以外と人間関係を持っていても、仕事にも学業にもついていない」のがニートです。

つまり、仕事にも学業にもついていないという状況は、ニートも引きこもりも同じですからあまり違いはありません。

しかし、一般的に言われているニートについての説明で、順序があべこべになっているなと感じるものがあります。

それは、まず学校や職場での人間関係や仕事のストレスが先にあって、その結果としての若者が引きこもりやニートになっている、という認識です。

つまり、ニートの原因を、「人間関係の行きづまりから生まれた個人の問題や病気」みたいに考えている人が意外と多いのです。
実際にそういう報道も多い。

これはまるっきり誤解です。
そう断言しておく必要があると私は思います。

なぜなら、仕事や学ぶことに希望や喜びを感じられれば、自動的に引きこもりやニートの問題は解決するからです。

勉強や仕事に希望や喜びを感じていられれば、多少嫌なことや嫌いな人間がいても我慢できる。
なんとかやり過ごすことができます。

反対に、人生や仕事、勉強に希望がないから、人はささいな人間関係のトラブルに神経質になり、必要以上に深く悩んでしまうのです。
そして、最終的には学校や職場に通えなくなってしまう。

平成16年の労働経済白書では、ニートという言葉こそ使われていませんが、15歳から34歳の無業の若者が、約52万人もいるということが発表されました。

引きこもりについては正確な調査はありませんが、一説には100万人という指摘もあります。

それだけの数の引きこもりやニートがいるのに、それを個人や家族の責任問題だけで片づけるのは、あまりに無理があります。

また、第1章でも書きましたが、そもそも「ニート」という言葉がイギリスで生まれたのは1997年のことです。

その年に誕生したブレア政権が、発足当初の目玉政策として若年層の失業問題を取り上げ、その中で「ニート」という言葉が生まれました。

それがヨーロッパ全体に広がっていった、というのはそこでも書いたとおりです。

さらに言えば、1980年代からヨーロッパでは、若年層の失業を個人の責任としてではなく、雇用問題として取り組んできた歴史があります。

雇用問題ということは、社会構造の変化によって生まれてきた社会問題だから政府が取り組んできた、ということです。

つまり、フリーターやニートの問題を、若年層の個人責任、あるいは家族の責任だととらえてきた日本こそが、特殊な国なのです。

繰り返しますが、引きこもりやニートは、けっして特殊な若者たちの問題ではありません。

明日に希望を見出せない、先進国の若者の普遍的な問題だと、まずは認識を改める必要があるのです。

「希望のニート」二神能基著 2005年6月2日刊行 より

このテキストは株式会社東洋経済新報社(以下「出版社」という)から刊行されている書籍「希望のニート」について、出版社から特別に許諾を得て公開しているものです。本書籍の全部または一部を出版社の許諾なく利用することは、法律により禁じられています。

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執筆者 : 二神 能基(ふたがみ のうき)

二神能基

認定NPO法人ニュースタート事務局理事。1943年生まれ、早稲田大学政治経済学部卒。1994年より「ニュースタート事務局」として活動開始。千葉県子どもと親のサポートセンター運営委員、文部科学省「若者の居場所づくり」企画会議委員などを歴任。現在も講演会やメディアへの出演を行う。

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