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子供は個性的な人生を歩んでほしい? 二神式子育て

2019年2月20日

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二神式「普通」の子どもの育て方

 



他人の子育てばかり分析ばかりするのも卑怯なので、私の子育てについても少し書いておきたいと思います。

 

 

 

昔とくらべて、「子どもは自由で、個性的な人生を歩いてほしい」という親御さんがふえています。

 

しかし、そういう子育て観をもっている本人は、なぜか公務員か会社員だったりするのです。

 

これは私のところに相談に見える親御さんを通しての、私の感想です。

 

 

 

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もちろん、親としての反省や、子どもへの愛情もあるのだろうとは思います。

 

けっして全面否定するつもりはありません。

 

 

 

しかし、「子どもには自由で、個性的な人生を歩いてほしい」と口では言いながらも、本当に個性的な生き方をしようとすると、学校や会社ではどうなるか

 

――そこまできちんと考えたうえで、子どもに「自由で、個性的な人生」をすすめているかというと、どうも心もとない。

 

実際、個性的な子ほど、学校側も持て余しますし、クラスでも浮いてしまい、不登校や引きこもりになりやすいのです。

 

 

 

日本社会のそんな現実を考えれば、子どもの個性を伸ばすなどと、安直に考えるべきではないのです。

 

何よりも、子ども自身がまず一番迷惑するはずです。

 

 

 


 

  

 

私の一人娘は、私が松山市で経営する幼稚園に通わせていました。

 

 

 

学習塾の経営が好調で、新たに私がつくったものです。

 

そこの授業料は近くの幼稚園の二倍でしたから、裕福な家庭の子が多く通っていました。

 

 

 

当時、娘の担任は若い女性教師でした。

 

子どもの個性を伸ばす教育に強く憧れていて、大学で幼稚園教諭の免許をとり、彼女は理想の教育の実践に向けて燃えていました。

 

 

 

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そんな彼女に、私はある日、

 

 

 

「ほかの子どもの個性は大いに伸ばしてほしい。だけど、うちの娘の個性だけはうまく摘みとってくれ」

 

 

 

と言いました。

 

学習塾を経営しながら、たくさんの事例を見ていましたから、日本の社会で生きていくためには、普通の生き方が一番楽で、大きな成功はない代わりに、大きな失敗も少ないと見抜いていたのです。

 

 

 

案の定、彼女はけげんそうな表情で、

 

 

 

「えっ、どうしてですか?」

 

 

 

と訊いてきました。

 

 

 

「よその子どもが個性的なのは面白い。だけど自分の子どもが個性的なのは、ぼくにとっては厄介なんですよ」

 

 

 

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私は正直に、彼女にそう答えました。

 

実際に、個性的な子どもに苦労させられている親を、私が何人も知っていたこともあります。

 

ああいう苦労はしたくない、自分は親としては楽をしたい、と言うと彼女はキョトンとしていました。

 

 

 

当時の私の考え方は単純明快です。

 

日本は個性的な子どもは、生きていきにくい国だと認識していました。

 

アメリカとは違う。

 

学校でも会社でも、普通の子どもが一番楽に、うまく適応できる社会なのです。

 

私は親としても楽をしたいと思うと同時に、娘自身も個性的に育つと後々大変だから、幼稚園時代から個性の芽を摘みとるほうがいい

 

――そう判断したわけです。

 

 

 

そのため、娘には、私が通わされた松山唯一の国立大学附属小学校は受験させませんでした。

 

ほかの父兄から、「どうして二神園長は附属小を受験させないのか」ということをよく言われましたが、学習塾を経営して、いろんな事例を見ているからこそ、地域のエリート校には入れなかったのです。

 

 

 


 

 

 

その後、こんなエピソードがあります。

 

 

 

当時はまだ私の父親、つまり娘にとっての祖父が健在でした。

 

その祖父が、娘の小学校の入学記念に、プレゼントを贈ってきてくれたのです。

 

それはリカちゃん人形でした。

 

 

 

人形のオモチャには、祖父から孫宛の手紙がついていました。

 

でも娘は人形に夢中で、手紙に見向きもしません。

 

 

 

それで私は娘を呼んでこう言いました。

 

 

 

「おまえ宛におじいちゃんから手紙が来ている。

 

読んでやるから聞いていなさい」

 

 

 

父親の手紙は、お人形のリカちゃんも、将来は立派な人になろうとしっかり勉強しているからおまえもがんばれよ、といったような文面でした。

 

 

 

私がその手紙を読み終えると、娘が一言こう言いました。

 

 

 

「私、立派な人にならないの。普通の子でいいの」

 

 

 

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一瞬、私はドッキリしました。

 

小学校一年生にしては、かなり大人びた考え方だったからです。

 

 

 

それでも私にとっては、してやったりです。

 

なぜなら、祖父の息子、つまり私は、個性的な人生に強く憧れて、地元では名門私立高校二年生のとき、白紙答案を出しつづけた挙句に退学しているからです。

 

 

 

祖父と私の、子育ての優劣は、娘のその一言ではっきり結論が出たな、私はそう思ったのです。

 

 

 

ちょうど、その当時、子どもから大人にまで人気だったテレビ番組が、萩本欽一さんの『欽ドン!良い子悪い子普通の子』というバラエティ―番組でした。

 

娘もその番組が好きでよく観ていて、どうもこれが彼女の発言につながったようです。

 

 

 

「私は良い子にはなりたくないの。

 

本当になりたいのは悪い子だけど、私はそこまでの勇気がないから悪い子にはなりたくてもなれないの。

 

だから普通の子でいいの」

 

 

 

このとき、私の娘が言い放った名言のひとつです。

 

 

しかし残念ながら、娘は普通の子のままではいてくれませんでした。

 

 

 

 

 

「希望のニート」二神能基著 2005年6月2日刊行 より

 


 

 

このテキストは株式会社東洋経済新報社(以下「出版社」という)から刊行されている書籍「希望のニート」について、出版社から特別に許諾を得て公開しているものです。本書籍の全部または一部を出版社の許諾なく利用することは、法律により禁じられています。

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